2016年、初めてのワークショップ開催です。
収蔵品展「驚きの昭和絹製品展」に合わせて、繭の毛羽(けば)を利用したシルクの小物入れづくりを開催しました。

おカイコさまは繭を作るとき、自らの足場づくりにまず糸を吐いて固定しながら繭作りをします。この最初に吐いた糸が「毛羽(けば)」と呼ばれるもので、繭づくりをした蔟(まぶし)の繭には、おカイコさまの糞や桑の葉がついていることもあり、毛羽取りをすると取り除かれ、綺麗な繭になります。しかし、毛羽は、接着剤の働きをするセリシンが多く含まれ、繭糸の柔らかさと強さを併せ持つ糸です。この毛羽の性質に着眼して、昭和の戦中戦後、モノの無い時代には、さまざまなものが、シルクで代用されました。

蔟(まぶし)からはずした繭は、繭の周りの毛羽を「毛羽取り器」で取り除きます。繭が、ころころ転がるにつれて、面白いくらい繭から毛羽が綺麗に取り除かれていきます。

普段は、生糸づくりに繭を使うので、毛羽は使われないのですが、今回は、繭ではなくて、毛羽の方を使います。


おカイコさまの糞や桑の葉を取り除いた毛羽を、一つかみ、5グラム程度使います。毛羽はふわふわしたものですが、水に浸けると、水分を含んでぺしゃんこになります。このとき、染液に浸けると、あっという間に染まります。セリシンで、指先がちょっとペタペタするような感じかするかも。そして、小皿に押し付けるようにして整形し、形づくります。
乾かすと、できあがりです!
最初は柔らかくほわほわした感じだった毛羽が、和紙を固めたような触り心地の小物入れに変身!「えっ!?これがシルク?」そんな、シルクのフシギに触れるワークショップでした。