蚕糸博物館について

ごあいさつ

明治時代のはじめの頃、岡谷の人々は、イタリア・フランスから導入された洋式製糸機械に創意工夫を重ねた諏訪式繰糸機を開発しました。その技術は全国に普及し、岡谷で生産された生糸の多くは輸出され「シルク岡谷」と世界に轟くなど、岡谷は一大製糸業地に発展し、わが国の近代化に大きく貢献しました。昭和39年10月、こうした先人の偉業を後世に伝え、今後の産業発展に役立てるために、諏訪製糸研究会や全国蚕糸業関係者の協力を得て、市立岡谷蚕糸博物館が開館しました。現在、製糸機械類、文書類、製糸経営史料等約3万点を収蔵・展示し、その内の一部が昭和41年に長野県有形民俗文化財に、平成19年には所蔵資料が経済産業省より近代化産業遺産に認定され、さらに平成23年には日本機械学会より8点の繰糸機が機械遺産に認定されました。それらの中には、フランス式繰糸機、諏訪式繰糸機など当館だけにしか見られない貴重なものが多くあります。岡谷蚕糸博物館は、開館から半世紀を経た平成26年8月1日、旧蚕糸試験場岡谷製糸試験所(後の(独)農業生物資源研究所生活資材開発ユニット)のあったこの地に移転するとともに、館内に(株)宮坂製糸所を併設し、博物館の愛称を工場の(factory)のイメージとシルクの真実(fact)を伝えたいという意味を込め「シルクファクトおかや」とし、シルクの世界を五感で感じることのできる世界的にも類まれな博物館として生まれ変わりました。先人の成し遂げた偉業に学び、ものづくり精神と新たなシルク文化を発信していきます。

収蔵品紹介

岡谷蚕糸博物館には、世界で唯一の製糸機械類のほか、蚕種、養蚕、製糸に関する機械、器具類や、明治~昭和初期にかけての製糸経営史料、岡谷市の歴史を物語る文書類、写真類など約3万点を収蔵しております。

①機械・器具類

蚕種・養蚕・製糸に関する機械、器具類を収蔵しており、そのうち以下の指定・認定を受けています。

  • 長野県有形民俗文化財(昭和41年)
  • 経済産業省近代化産業遺産(平成19年)
  • 日本機械学会認定機械遺産(平成23年)
◆農水省蚕糸資料アーカイブ(蚕糸業)

平成30年(2018)は明治元年(1868)から満150年の年に当たり、これを記念して国による様々な「明治150年」関連事業が行われました。
農林水産省では、明治以降の農林水産業発展の歩みを振り返り、未来を切り開く知恵や手がかりを得る契機となるよう、関連資料をとりまとめる取り組みを行いました。
当館はこの事業の一環として行われた「蚕糸資料のデジタルアーカイブ化」に協力し、現在、同省のホームページにて、当館が所蔵する蚕糸資料179点の写真と解説が公開されています。
一部資料の写真は拡大して細部まで見ることができますので、ぜひご覧ください。

農林水産省HP 蚕糸業

②文書類

明治~昭和初期にかけての製糸経営資料、岡谷市の歴史を物語る文書類を収蔵しております。

③写真・絵画類

蚕糸業・岡谷の明治~昭和初期にかけての写真類や、吉田初三郎「岡谷市鳥瞰図」(昭和11年)や、蚕織錦絵などの絵画類を収蔵しています。

④中国古代復元絹織物

岡谷市が中国の蘇州絲綢博物館との学術交流協定により、殷王朝~清王朝の古代復元絹織物と清王朝以降の装飾品等の現品8点の計51点の提供を受け、収蔵しています。