令和7年9月29日、30日の2日間、岡谷北部中学校の中野先生が異業種研修のため来館されました。小学校に比べると、中学校でカイコ学習を教材に取り入れる学校は少なく、中野先生自身もカイコや岡谷の製糸業について詳しく学ぶのは初めてということで、充実した2日間を体験していただけたことと思います。 中野先生がこの研修内容をまとめてくださった文章を以下にご紹介します。
2日間、教員の異業種研修として学芸員の方の仕事を体験させていただきました。普段は利用させていただく立場ですが、その裏側を知り、当たり前のように利用させていただいていることが当たり前ではないことを垣間見ることができた2日間となりました。特に岡谷蚕糸博物館の環境に注目し、紹介します。
<お蚕様の環境> 1日の始まりは、お蚕様が食べるための桑の葉を準備し、部屋の掃除です。お蚕様が食事をするときの音は心地よかったです。人の行き来があるので、部屋をきれいにするだけではなく、様々な病気にかからないように気をつけなくてはなりません。掃き掃除をした後には、石灰を入れた水で床拭きをします。石灰を使用するようになってから、病気になることはなくなったそうです。


<博物館の環境> 博物館の中は、展示作品がたくさんあります。そこにも環境を整えるためにされていることがありました。まずは、展示室の中。床を見てもちりがなく、ガラスを見てもピカピカでした。そこには、ガラスを丁寧に拭いたり、粘着シートを使って床のちりを集めたりしているからでした。来館された方が展示をご覧できる気持ちの良い環境を整える一面でした。
<資料の管理環境> 博物館には展示されている資料以外にも、書物や使用していた機械、織物など多くの資料が収蔵室に管理されています。織物を食べてしまう虫や湿度から資料を守るために、湿度や温度管理を行っていたり、害を及ぼす虫を捕まえるように工夫をしていたり、その虫を確認したりするなどの、資料を保存するため、守っていくためにも環境を整えていました。

<さまざまな企画> 繭を生かした、ワークショップの準備にも関わりました。来場された方がご家族で楽しめるような、繭を生かしたものづくりをすることができます。たくさんの方が興味を持ったり、楽しめるような企画を考えたりしています。

〜おわりに〜 岡谷蚕糸博物館には、資料の収集や保存、展示以外にも、調査や研究から情報発信をしたり、企画展示などの生産活動をしたり、蚕糸技術の継承や学会に、教育活動などの多くの役割を担っていることを知りました。上のような環境を整えることは、伝承し、発信していくために必要なことでした。
ここには、多くの方が歴史に学び、これからの未来を考え、創造するための環境が整っています。たくさんの企画も行われていますので、ぜひ多くの方に見て、肌で感じていただければと思います。