朝晩が冷え込む時期となりました。
蚕糸博物館の桑畑も夏の間に伸びた枝を剪定し、冬支度に入っています。
館内で飼育している蚕も、桑の葉を食べて大きくなるのはこの蚕で今年は最後。これから桑の葉が枯れ落ちてしまう晩秋から、若葉が生える4月くらいまでの間は人工飼料の出番です。
人工飼料は蚕が育つのに必要な栄養素がつまった物で、ソーセージのような外見と手触りです。これ1本で500グラムあり、ずっしりとした重みがあります。スライスすると、まるで羊羹を切っているような感触です。原材料には桑の葉粉末や脱脂大豆粉末、糖、ビタミンなどが入っているので、桑の葉の青臭さときな粉の香ばしさが混ざったような匂いがします。
先日、静岡から来館された方々をご案内していたときです。
「稚蚕は人工飼料で育てるでしょ。その人工飼料には桑の葉の粉末が入っている。桑の葉を乾燥させるのに、緑茶の葉を乾燥させる機械を使ってるんだよ。」と話しかけてくださる方がいらっしゃいました。さすが、静岡茶の産地の方は目の付け所が違います。様々な分野の技術が蚕糸業を支えているのだな、と嬉しくなりました。
蚕糸博物館では香ばしい香りの桑の葉茶も販売していますので、ご来館の際はぜひミュージアムショップもご覧ください。