岡谷蚕糸博物館では企画展「諏訪のものづくりⅢ 製糸業と味噌醸造業」を開催しています。明治から昭和初期にかけて製糸業で栄えた岡谷のまちでは、最盛期の昭和5年には34,500人もの工女さんが働き、毎日の食卓にのぼった味噌汁の味噌も製糸工場の中で作られていました。工女さん達の食生活を、残された経営資料や献立簿を元に紹介するとともに、製糸業が衰退する中で醸造業へと転換していった岡谷の味噌醸造業についてご覧いただくことができます。
岡谷の堀川組献立簿を見ると毎日の食事に味噌汁が提供されています。味噌汁の具材は何が多かったのでしょうか。大正15年の5月と6月の味噌汁の記載を見てみましょう。(写真1)

(写真1 堀川組の献立簿)
5月16日~5月31日の間に使用された味噌汁の具材は多かった順に、夏芋(ジャガイモ)32回、青菜6回、豆腐6回、ネギ3回、素麺1回です。6月1日~6月30日(6月11~6月19日は休業)の間の具材はカンピョウ32回、青菜14回、豆腐11回、玉ねぎ9回でした。カンピョウが味噌汁にこんなに使われているのは意外でしたが、乾物野菜を上手に食卓に活かしてきた信州ならではの具材なのかもしれません。初夏はジャガイモや青菜が多く、夏から秋にかけてはカボチャ、ナス、大根が使われています。一日中工場内で働く工女さんにとって、旬の食材から季節を感じる楽しみがあったことでしょう。

(写真2 ある日の昼食。味噌汁の具材はジャガイモ)
展示室内には食品サンプル(写真2)で朝、昼、晩の食事を再現してありますのでぜひご覧ください。企画展は令和8年5月24日までの開催です。ご来館をお待ちしております。
