先日、スーパーでイナゴの佃煮が売っていました。久しぶりに買って食べましたが、甘じょっぱい味と噛んだ時の食感が懐かしく、美味しくいただきました。小学生の時、クラスのみんなと学校の周りの田んぼでイナゴを取り、担任の先生が佃煮にして持ってきてくれたことを思い出しました。イナゴの他にも蜂の子、蚕のサナギ(写真1,2)などの佃煮が今でも諏訪地域では売られています。

写真1

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養蚕が盛んであった時代、繭は農家の大事な現金収入でした。汚れ繭など、売れない繭は自家用に糸を取って家族の着物を織ったり、真綿にしたりしました。その時に出る蚕のサナギ(写真3)も佃煮にして食卓に出されています。

写真3
市販されているのを見たことが無いのですが、私が一度食べてみたいと思うのが蚕の蛾の佃煮です。実際に食べたことのある方に聞くと、メスよりもオスの方が美味しいとのことです。(写真4 大きい蛾がメス)メスは腹に卵があるので、ジャリジャリして口当たりが悪いそうですね。

写真4
大正、昭和の蚕種製造業(蚕の卵を販売する仕事)が盛んであったころは、種付けのすんだオスの蛾を水洗いして羽の鱗粉を落とし、甘辛く佃煮にしたそうです。当時でも、イナゴや蛹などは苦手で食べられない!という人はいたと思いますが、貴重なたんぱく源として郷土の食文化の一端を担っていた事は確かです。
信州の誇る昆虫食。見た目で敬遠されがちですが、ふるさとの味としてその知恵や技術が継承されていくことを願っています。ぜひ岡谷を訪れた際は昆虫の佃煮にチャレンジしてみてください!