岡谷蚕糸博物館では、カイコ学習の一環として、地元周辺の小学校への出前授業を行っています。お蚕さまってどんな生き物なのか、何を食べて、どうやって成長していくのか。そんな基礎的なことから始まる学習は、児童の学年や興味関心によって、理科(蚕の生態)や地理(養蚕に適した気候、地域の桑畑)、歴史(製糸業の発展と日本の近代化)、音楽(校歌に蚕や桑が出てきたり、信濃の国の歌詞には「蚕飼の業のうちひらけ」とあります)、郷土の文化(繭玉づくり、蚕玉さま)など、さまざまな分野へと広がりを見せていきます。
そんなカイコ学習の中で子供たちと盛り上がるのは、お蚕さまの体の観察です。
「えっ!これって目じゃないの?」「眼状紋という模様だよ。」
「口で呼吸しているの?」「呼吸は体の横にある黒い点々(気門)から酸素を取り入れているよ。」
「お尻の上のとがっているのは何?」「尾角といって、どんな役割があるのかは不明です。野生で生きていた時はこれで敵を驚かせていたのかな。」
こんな会話をしながら、お蚕さまの体をじっくり観察すると、さらに愛着がわいてきます。
あれ、このお蚕さまには尾角が2つあります!体節の形態異常でしょうか。
人間も驚かせた尾角ですが、このお蚕さまはその後、無事に繭になりました。